ど~しても気になります。。。
最近、放送で異常によく耳にするようになった↓の表現。
「~ついてお届け”を”します」
「お伝え”を”しております」
正しくは、「お届けします」「お伝えしております」のはずです。
言葉は生き物で、変化も流行やもあるため、必要以上に型に拘りすぎるのもあまり好きではありません。
10代の人たちの表現が抜群にその雰囲気にフィットする場合もありますし。
(その場合、お見事!と感動することもあります)
それに、なんといっても私が使っている言葉遣いすべてが正しいなんて全く思ってもおらず、
常に常に、どれが正しいか、この場にふさわしいかにアンテナを張り、センスをアップさせる必要もあり、
ずーーーっと勉強ですもの。
ただ、その勉強をするにあたり、放送局のアナウンサーさんは、局からうるさく言われているであろう、ということを前提に、
特に敬語等はどの使い方が正しいかは、アナウンサーさんをお手本にする場合が多々ある。
まして、放送等に携わる世界に出ていく人たちに講師をさせていただいているという立場上、
これが正しいんだよ、ということは学生たちに伝えなければなりません。
その場合、アナウンサーさんの喋りを見聞きして自分でも勉強しなさい、と伝えるのですが。。。
さきほど挙げた例に関連した話になるとおそらく、
でも、「勉強する」は「勉強をする」、「洗濯する」は「洗濯をする」、と言うでしょ?
という話にきっとなります。
ザックリとは
(1)勉強をする、は「○○(名詞)をする」なので、その目的のことを「する」ということ。
(2)お伝えをする、は「伝える」を「お~~~する」と敬語表現にしたもの。
よく似た例が「お知らせ」。
「お知らせ」という名詞として使うという解釈なら(1)の「お知らせをする」は自然に感じます。
「知らせる」という動詞を(2)の敬語表現で言うなら「お知らせする」となる。。。
だんだん難しくなってイヤになってきましたよね~~~^^;
そうなのです。イヤになるでしょ?
だから、頭で考えるよりも、テレビでアナウンサーさんが喋っているのを聞いて耳で覚えてた真似して言ったほうが早い!
だから、早く、上手な表現を使いこなせるようになったり上達することを目指すなら、
正しい話し方をしている人の話をシャワーのようにずっと浴びていなさい。
それはつまり。。。アナウンサーさん。 となるわけですが。。。
アナウンサーさんが悪い、というわけではありません。
ただ、同じ喋り手として、この「お伝えを、いたします」は、そうなってしまうことに喋り手としての無意識の要因があります。
例えばCMが終わり、放送本編に戻ってきたとき、
「本日は、○○というテーマでお届けしています。では・・・」
と一気に言うより、
「本日は、○○というテーマで お届けを しています。では・・・」
と(「お届を」、の「を」(語尾)を上げて間を開け、ちょっと休憩するようにしてそれを弾みにして次の言葉を言う)言った方が
1.呼吸が楽なのです。
2.喋りにもリズム感が出て、ちょっと楽しげな印象も醸し出せます。
3.それに、前者のように一気にサッとしゃべって、はい次! という印象よりも
少しもったいぶった感じで次への期待感も作れるのです。
4.それと、次に進むまでの時間が稼げます。
放送の仕事をしていると、たとえ1秒でも2秒でも時間を延ばし、次のVTR出し等の絶妙なタイミングを狙い
時間調整したい場合があります。
と、その要因を挙げようとすればあるのですが、
これを、意図的にされている方は少なく、おそらくほとんどの方が、
1の自分の喋りやすさの問題。
または、4がクセになった。
だろうと思っています。
ちなみに、ナレーターは逆に、こういった細かいことを目的に合わせ、意図的に
意識してわざとそうやって原稿を読み、
与えたい印象にしていく、という仕事です。
(そこがアナウンサーとナレーターの違いです。
ナレーターは、本編を伝える、ということと、
時に、相手にこの印象を持ってほしいのでこういう声、こういう発音で話す、ということが求められるのです。)
意識しないと、人間は誰でも楽な方へ楽な方へ・・・、と、無意識だと
ついついそうなってしまいますよね。
それを、誰かに言われるから、あ、と思ってまた意識して直す。
背中がいつの間にか丸まってしまっていて、言われて背筋をピンと伸ばす、と同じです。
昔、私が携わらせていただいた放送番組で、リポートするアナウンサーさんが
「~で、~が ありまして、そのため、こちらで、おこなうことになったと いうわけです」
と、話すクセのある方で、
短い時間の中のリポートが全てそんな感じだったので、
放送後少し話題になり、その後、そのアナウンサーさんは気を付けていらっしゃった
ということがありました。
それが良いな~と思うのです。
どんな仕事でも、プロでも無意識にそうなってしまっていることはあり、
それを誰も指摘しない、ではそのプロは成長が止まってしまったり、
時には抹消されてしまいます。
例えば有名になった芸能人が天狗になりすぎたらいつのまにか嫌われて
テレビに呼ばれなくなってしまった、、、というようなことって聞きますものね。
なので、もし「?」と思う表現があれば、アナウンサーさんでも、誰かがその方に少し伝えて差し上げれば
きっと、正しい美しい表現のお手本として、アナウンサーさんが輝き続けることになると思うのです。
ぜひそうなってほしいとも思います。
そうすれば、世の中から美しい表現は途絶えることなく生き続けることでしょう。
ちなみに。
国会中継等を聞いたり、政治家のインタビュー心を聞いていると
「資料をお示し”を”しておりますが・・・」「とおっしゃったと、お聞き”を”しておりますが・・・」
の連発で、聞くたびになんだかいつも
ソワソワムズムズザワザワして気持ち悪かったのですが、もう
法律の専門用語のように、”政治家用語”と解釈し自分を納得させることにしました。
さて。さんざんここまで長く書きましたが、
はて、学生たちには「お伝えする」「お伝え”を”する」などの無数にある例について
どちらが正しいかをどうやって伝えましょうか。。。
名詞は名詞でも動詞の連用形が・・・と
文法で伝えるとキッチリ説明がつく部分もありますが、
難しい。。。と耳も頭もシャットアウトしたくなり、結局喋れるようにはなりませんもんね。
要は!(これがすごく大事)要は!結局は、正しく「話せるようになる」ことが目的なため。。。
正しい表現を私がたくさん勉強し続けて、使って聞かせてあげることがせめて私の出来ることですね。
これからも、こうした正しい表現には、表には出さず(ここ大事ですね。イヤな人に思われてしまいます^^)こだわり、
常に自分の声、発音、言葉遣いにも敏感に。
精進して参ります。
講演•研修