気になる声・話し方・言葉

「寒っ」「みじか(短)っ」。"い"の省略はスゴいと思う理由。

ヤフーのトップニュースが、文化庁の「国語に関する世論調査」の結果
今回は「寒い」を「寒っ」、「短い」を「みじかっ」 と、「い」を言わないことについて。
これを賛成か反対かと言えば、私は賛成です。
なんだ、しゃべり手のクセに、と思われるかもしれませんが、
しゃべり手、その中でもナレーターとしてだからこそ大賛成です。
学生や若い子たちがはじめてこう言っているのを聞いた時、
なんておもしろくて良い言い方だろう、と思ったことをよく覚えています。
それは。
本当に寒いときに言う「寒っ」は、
瞬間的に身体がブルッとしたり痛いと感じたりする、鋭さを感じる。
「寒い」にはそのニュアンスは無い。
ギャグが滑った時の相手に言う「寒っ」は、
ツッコミのような、茶化すような、その場に笑いをおこし、
滑った相手の恥ずかしさを逆にネタにしてあげちゃうような雰囲気がある。
「寒い」と言うとたぶん言われた方はちょっとキズつく。
冗談っぽく受け止められない場合もあるかも。
「みじかっ」も、「なんて短いんだっ!!」と
見た瞬間にビックリするニュアンスがとってもよく含まれている。
「短い」には、この”見た瞬間ビックリ”感は伝わりにくい。
ナレーションをするとき、この、同じ言葉でも、音(発音)から感じられるニュアンスを、私は
ものすごく重要視しています。
先日学校の講義でもそれに触れたばかり(講義ではほぼ毎回触れているようなものですが)。
例えば「サラサラ」という清くさわやかできれいでスピード感のイメージの言葉を
「サァラァサァラァ」と、ちょっと極端ですし文字に書いてもわかりにくいですが
母音を少しでも長く言うと。
スピード感は無くなり、なんとなくもたついたような感じになり、清潔感を伝えられません
(と私は思うんですけどね^^;)
なので母音はできるだけ言わないのです。
でもそうすると「サ」を言ったらすぐに「ラ」を言うことになり早口になってしまう。
だからその分の時間を「ラ」の音を舌を強くはじくことに使う。
そうすると、「ラ」の音に軽やかさが出てさわやかなスピード感が出せる。
ん~、何を言っているのかよくわからん。。。
という感じですか?ごめんなさい^^;
もっとわかりやすいところでは。。。
紙や刃物でピッと切った時「痛い」じゃなくて「痛っ」と言っちゃいますよね。
「痛い」というときより「痛っ」と言った方が、すぐに周りにいる人が
「どしたのっ!?」と、これも「どうしたの!?」じゃなくて
“う”を抜いて
「どしたのっ!」と飛んできてくれますよね。
それそれ、そんな感じです(笑)
というくらい、語尾や一音一音でイメージってかわるんですよね。
なので、「寒い」と「寒っ」、「短い」と「みじかっ」を使い分けた方が楽しいと思うんです。
それに、なんとなくですが
「寒っ」という言葉は「寒いよね」
「みじかっ」は「短いよね」 と、
なんとなく相手に言っているというか、周りの人に「ハハハ、ほんとだね」と
同調を求めているような感じがしませんか?
(独り言でももちろん使いますが)
なんとなくそれを受けて反応(同調)しやすい、コミュニケーション機能の高い言い方だな、とも思っていたのでした。
そんなわけで。賛成です。
でもそれは、あくまでも正しい使い方を知っての上ですけどね。
でもみんな知っていますよね、「寒い」が正しいことくらい。
「寒っ」という時はノリだったり雰囲気だったりが先行しているだけなので
正しいときに正しく使えば良いと思うけどな~。
だって、ふだん一般的にも
「○○さんが、××って言ってたよ」と言うじゃないですか。
正しく
「○○さんが、××と言っていたよ」なんて言いませんよね。
ま、どちらにしても「正しい言い方」と「崩した言い方」を両方知っておくことが最も重要ですよね。
ヤバッ。あ、失礼、ヤバイ。久しぶりに語ってしまった。。。
気難しいと思われちゃイヤだしな、と
いつも抑えている(隠している?)のですが(笑)

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