梶田香織&こだわり

「そういうもんだ」という昔ながらの常識も伝えています

先日、講義後に掃除をしていた学生が、なにか引っ掛けたのか、
「ガッシャーン」と大きな音を立てて何かを落としました。
「失礼しました」(と言ったかな、たしか。「すみません」だったかしら。)
そこで、ちょっと聞いてみました。
「そのすぐに、失礼しました、とかごめんなさい、と言うのはとても良いことですね。
それは、家で言われたの?アルバイト先?」と。
「バイト先です」とその学生は答えてくれました。
他の皆にも、
「こうして大きな音を立てたり、何か落としたりしたときは
ごめんなさい、とか、すみません、とか言いなさい、と
家で言われたことのある人」と聞いたら、手が上がらない人もいました。
その子が悪いわけでもなく、たまたまそういうことを言われる機会や環境が無かっただけなんですよね。
それを、そんなことも知らんのか!と、言われると気の毒だな~、と
最近の学生を見ていてよく思います。
本当に、ただ知らないだけ、の人が多いからです。
私は、まだ二十歳前の学生たちへの講義の中で、
人前で話す人になるための話し方、や、
声優俳優をめざす方々に、声の出し方・滑舌・話す時の印象等についての講義を担当させていただいています。
ですがそれと同時に、一般常識、も機会あるごとに伝えるようにしています。
それも随時気づいたことは、ことこまかに。
例えば、回収物を集めて私に持ってきてくれたときの書類の渡す向きと渡し方。
片手で、逆向き、という渡し方をされたら即、
「何か渡すときは、基本は、両手で、相手から見た方向で、何かひと言言って渡すのが、社会に出たときの一般常識です。」とか。
「講義中「○○さん」と呼ばれたら、まず返事をしてください。
これは、もし就職したときなどに、上司から呼ばれたときに返事をしないのでは、
居るどうかがわからないです。
病院等では返事しない習慣になっていますが、仕事上は返事するのが常識です。」
「先輩や上の人とご飯を食べに行ったら、自分の注文した分が先に出てきても、
先に手をつけず、一番目上の方が食べ始めたら食べるのが常識。
先にどうぞ、と言われたら、お先にいただきます、と言って先にいただくこともあります。
社会に出るとそういうものです。」
といった調子。
そのため、受講生の皆さんには予め、
「気づいたことはこと細かに言います。なのでとっても嫌なお姑さんになる自信、”大有り”です!。
それを自分に取り入れるかどうかは皆さんの自由。
知っているか知らないかがまず重要なので、
うるさいなぁいちいち、と思っても聞いていていただければそれで良いです」
と言ってあります。
新入社員のビジネスマナー等の研修も私はさせていただくことが時々ありますが、
その中で、そんな細かいことまでは講義はしません。
電話応対や、報告の仕方、等、さきほどのような
家庭で学んだはずの一般常識までは、触れません。
なので、知らない人は知らないまま社会に出て怒られり、
誰にも注意されずに、いい年になってしまっている人もたくさんいます。
受講してくれいる学生たちに会ったのも何かの縁。
もし、声優俳優にならずに、一般の会社に就職したときに、
「使えん(汚い表現ですが)」とか、「あいつは常識が無いからダメだ」と、
仕事以前のところで陰口たたかれたり嫌われたりしないように、
できることなら「よく気がつくよね」「間に合うヤツ」なんて言われるようになっていただけたらいいな、と思っています。
既にすっかり大人になっている方にはもちろん言うことはほとんどありませんが、
子ども達や、新入社員くらいの年齢の方には、それも伝える。
それが、私の、声・話し方のスキルアップ方法を伝える際の方針です。

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